うるぷろは、「うる」ことに課題がある中小企業に対して、これまでたくさんの支援をしてきました。そもそも中小企業とは、どのような企業のことをいうのでしょうか?実は、中小企業と一口に言っても、法律や制度によって定義が異なります。この記事では、中小企業基本法、会社法、法人税法における中小企業の定義の違いをわかりやすく解説します。自社がどの区分に当てはまるのか、確認してみましょう。
中小企業の定義とは?
中小企業基本法における定義
中小企業基本法は、日本における中小企業の定義を定める根拠となる法律です。この法律では、中小企業を支援するための様々な政策が規定されており、その対象範囲を明確にするために、企業の規模に関する定義が設けられています。中小企業の定義は、業種によって異なり、資本金または出資金の額と、従業員数の2つの基準によって判断されます。これらの基準は、定期的に見直され、経済状況や社会の変化に合わせて改正されることがあります。
中小企業基本法における定義は、単に企業の規模を測るだけでなく、中小企業が日本経済において果たす役割を認識し、その成長を促進するための基盤となるものです。この定義に基づいて、様々な支援策が講じられ、中小企業の発展が支援されています。中小企業基本法は、中小企業が持続的な成長を遂げ、日本経済全体の活性化に貢献することを目的としています。
中小企業者の具体的な範囲
中小企業基本法では、中小企業者を業種ごとに具体的な数値で定義しています。製造業、建設業、卸売業、小売業、サービス業など、主要な業種ごとに資本金の額または出資総額、および従業員数の上限が定められています。製造業の場合、資本金の額が3億円以下、または従業員数が300人以下であることが中小企業の定義とされています。卸売業では、資本金の額が1億円以下、または従業員数が100人以下、小売業では、資本金の額が5000万円以下、または従業員数が50人以下と定められています。サービス業については、資本金の額が5000万円以下、または従業員数が100人以下という基準が設けられています。
業種 | 出資総額 | 従業員数 |
---|---|---|
製造業 | 3億円以下 | 300人以下 |
建設業 | 3億円以下 | 300人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
中小企業は、これらの定義に合致する企業であり、資金調達の支援、経営相談、技術支援、人材育成などの中小企業向けの支援策の対象となります。中小企業基本法における定義は、中小企業がこれらの支援策を有効に活用し、成長を促進するための重要な要素となっています。なお、具体的な数値基準は、経済状況や産業構造の変化に応じて見直される可能性があります。各種補助金や支援策を活用する際には、必ず公募要領等を確認しましょう。
小規模企業者とは
中小企業基本法では、中小企業の中でも特に規模が小さい事業者を「小規模企業者」として区別しています。小規模企業者は、より小規模な事業者を対象とした、よりきめ細やかな支援策の対象となります。小規模企業者の定義は、業種によって従業員数の上限が定められており、製造業、建設業、卸売業、小売業、サービス業などで異なります。商業・サービス業では従業員5人以下、製造業その他では従業員20人以下が小規模企業者とされています。 中小企業の定義は、資本金の額と従業員数という二つの基準がありましたが、小規模企業者は、従業員数のみが基準となります。また、宿泊業及び娯楽業は、従業員20人以下の事業者を小規模企業とする例外があります。
上記の業種ごとの人数を表にしてください
小規模企業者は、経営資源が限られていることが多いため、経営改善や事業承継、販路開拓など、様々な面で支援が必要とされています。小規模企業者向けの支援策としては、小規模事業者持続化補助金や、専門家による経営相談、融資制度などがあります。これらの支援策は、小規模企業者が直面する課題を解決し、持続的な成長を支援することを目的としています。小規模企業者は、地域経済の活性化や雇用の創出に重要な役割を果たしており、その育成と支援は、日本経済全体の発展に不可欠です。中小企業基本法は、小規模企業者がその潜在能力を最大限に発揮し、地域社会に貢献できるよう、様々な支援策を講じています。
会社法における中小企業の定義
会社法上の大会社とは
会社法では、会社の規模を判断する基準として、資本金の額と負債の総額を用いています。具体的には、資本金が5億円以上、または負債の総額が200億円以上の会社を「大会社」と定義しています。大会社は、中小企業と比較して、より厳格な規制が適用されます。たとえば、会計監査人の設置が義務付けられていたり、計算書類の監査を受ける必要があったりします。また、内部統制システムの構築や、情報開示の義務なども強化されています。これらの規制は、大会社の規模が大きく、社会的な影響力が大きいため、投資家保護や企業の透明性確保を目的としています。
会社法における大会社の定義は、企業の規模に応じた適切なガバナンス体制を構築し、健全な企業活動を促進するための重要な要素となっています。大会社は、その経営状況や財務状況を適切に開示することで、投資家や債権者などの利害関係者に対して、十分な情報を提供する必要があります。会社法は、大会社がその社会的責任を果たすことを求め、持続的な成長と社会への貢献を促しています。
会社法における中小企業の扱い
会社法において、中小企業は大会社以外の会社と定義されます。中小企業は、会計処理や情報公開に関して、大会社と比較して簡素化された規定が適用される場合があります。例えば、会計監査人の設置義務がない場合や、計算書類の作成・開示に関する手続きが簡略化されている場合があります。これらの簡素化された規定は、中小企業の負担を軽減し、経営資源をより事業活動に集中させることを目的としています。会社法は、中小企業がその規模や経営状況に応じて、柔軟な経営を行えるよう配慮しています。ただし、中小企業であっても、法令遵守や適切な会計処理は求められます。
会社法は、中小企業が健全な経営を行い、持続的な成長を遂げることを支援するために、様々な規定を設けています。中小企業は、会社法の規定を遵守しつつ、その規模や特性に応じた経営戦略を策定し、事業活動を展開していくことが重要です。会社法は、中小企業が日本経済において重要な役割を果たすことを認識し、その成長を促進するための基盤となるものです。
法人税法における中小企業の定義
法人税法上の定義
法人税法では、中小企業を資本金の額が1億円以下の会社と定義しています。この定義は、税制上の優遇措置を適用する対象範囲を定めるために用いられます。法人税法上の定義は、中小企業基本法における定義とは異なり、税制上の優遇措置の対象範囲を定めるためのものです。資本金1億円以下の会社は、法人税率の軽減や、交際費の損金算入限度額の拡大など、様々な税制上の優遇措置を受けることができます。これらの優遇措置は、中小企業の税負担を軽減し、事業活動を支援することを目的としています。
法人税法は、中小企業がその経営努力によって得た利益を、より有効に活用できるよう、税制面からサポートしています。中小企業は、法人税法の規定を理解し、税制上の優遇措置を最大限に活用することで、経営の安定化や成長を促進することができます。法人税法は、中小企業が日本経済において重要な役割を果たすことを認識し、その発展を支援するための基盤となるものです。この定義は、中小企業の税負担を軽減し、事業活動を支援することを目的としています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?この記事では、中小企業の定義について解説してきました。中小企業と一口に言っても、中小企業基本法、会社法、法人税法における中小企業の定義は全く違います。これはそれぞれの制度の目的が異なるためです。各種支援策を利用する際には、自社がその支援策の対象となるのか、税理士や中小企業診断士などの専門家に相談するのがおすすめです。うるぷろには、中小企業施策に精通している中小企業診断士が複数名います。これまでも補助金活用はもちろん、中小企業が各種支援策を適切に利用するためのサポートをおこなってきました。ご相談はお気軽にお問い合わせください。